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第7章 絶望と希望

【Side:璃斗】

驚くことに、携帯が繋がったのである。駄目もとでかけたんだけど、まさか繋がるとは思っていなかった。ほんと、おかしな世界ね。

電話の向こうでは、声を殺したような泣き声が聞こえる。威王が泣くところなんて、腐るほど見てきたけど、それとは違うなんてすぐわかる。いつものギャルゲーのエンディングで泣いている解きは、もっとうるさい。

なんで泣いているのか、私の脳裏に、1つの嫌ーな可能性が浮かんだ。携帯を握っている手が汗ばんできた。

「威王、私の質問に素直に答えてね?」

『あぁ…。』

私の予想が外れることを願う。じゃないと、大変なことになるだろうから。私の人生が。

「ねぇ、今日って何日?」

よくトリップ小説である、こっちの世界では現実世界と流れる時間が何倍も早いんだよ的な、お約束な展開は頼むからやめてほしい!そんなことになったら、私の華の高校生活が一気に消え去る。

私が事件に巻き込まれたのは4月22日。本当に進級して間もない頃だった。

『今日の日付、は…』

受話器の向こうで威王がカレンダーを確認している様子が窺えた。

頼むから、もう5月とかやめてよ…!!

『今日は………6月25日だ。』

嗚呼、現状は、自分が思っていたよりも大分悪い、というか最悪らしい。

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