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↑逆転↓御斗戯世界

第7章 絶望と希望

【Side: 璃斗】

その日付を聞いて、私は思わず隣で不機嫌そうにこちらを見ているウィザードに詰め寄った。

「ちょっと!!なんであっちとこっちで時間の流れが違うのよ!?」

いきなり話を振られて、ウィザードは一瞬戸惑っていたけど、すぐにいつもの仏頂面になる。

なにその、俺は悪くねぇ!みたいな顔は。

「んなもん、俺に言われても知るわけねぇだろ。この世界、俺が作ったんじゃねぇし。」

確かにそうだ。この御斗希世界はこいつが作ったんじゃないらしいし、私だって、この御斗希世界の住人に「何故私たちの世界とあっちの世界は時間が違うの?」と聞かれても答えられない。つまり、そういうことか。


ということは、だ。

今電話している数分の間にも、現実世界では刻一刻と時間が過ぎていってるわけか。そりゃまずい。

「い、威王?聞こえる?」

『え、あぁ。さっき誰と話してたんだよ?………まさか、犯人か?』

あれ、普通だ。てっきりもう小一時間ぐらい過ぎてしまったのかと思ったけど、そうじゃないらしい。よかったと喜ぶべきかな?

威王が声を潜めて、受話器の向こうでごくりと喉を鳴らした。きっと、ウィザードのことを、殺人犯だと勘違いしているんだろう。

今思い返してみると、ほんとすごい非日常的なことに巻き込まれたんだな、実感した。いきなり殺人現場に遭遇したことも非日常だし、その犯人と対峙したこともそう。そしてもっとも非日常なのは、今私がいる世界と目の前の魔法使い。

ほんと、私が焦がれてやまなかった”非日常“だ。

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