無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「でっ、電話！でなきゃ…！」



ナイスタイミング！
私は渚から体を離して立ち上がる。



「またね！おじゃましました～！」



シャツの前を押さえて、慌てて渚の部屋から出る。

ケータイの画面をみると浩太からだった。







自分の部屋に入り、電話をとる。



「……もしもし？」
『結花？いま大丈夫？』
「もちろん！」



浩太の声を聞くとホッとする。
優しい、少し低い声。

私たちはしばらく雑談をしていた。…でも、本当に話したいことは別にある、というかんじ。

少し沈黙が続いたあと、浩太が言った。




『…あの、今日の男…あいつも一人暮らしなの？』
「えっ？あ～…よくわかんないけど、そうみたい」
『ふ～ん…仲いいの？』
「そんなわけないじゃん！！あんなやつ！！」
『あんなやつ？』
「……っ！いや、まだ挨拶しただけだけど、なんか感じ悪くて。仲よくなんか全然ないよ」




浩太はなんか腑に落ちない様子。

そりゃ昨日一人暮らしはじめたばかりの彼女を、馴れ馴れしく下の名前で呼ぶ正体不明な男が同じアパートにいたら、嫌な気分にもなるよね。

しかもそいつが管理人で、命令は絶対きかなきゃいけない関係だなんて知ったら……浩太はどう思うだろう。

それだけは絶対にバレないようにしなきゃ！！