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白い雪のような

第2章 夜の逢瀬

「お兄さん、お邪魔します」

襖の向こうから声がかかる。

「朗?どうぞ?」

「失礼します。洸太、
お昼の時間だから呼びに来たよ」

「…ん」

必要以上に丁寧な物言いで
朗は部屋に入ってきた。

「洸太、お兄さん顔色が
あんまり良くないみたいだから…」

「わかってるよ!もう行く」

「気にしなくていいのになぁ」

周囲の心配をわかっているのか、
当の本人は飄々としていて
危機感は感じられない。

それを信じ切っている洸太は

「じゃあ惺兄、また来るね!」

笑顔で出て行く。

残された朗は、
何か言いたげに
惺を見つめていた。

「言いたいことは口に出さないと
伝わらないよ?」

「…」

それでも何も言わない朗に、
惺はふっと笑いかけた。

「そんなにイヤなら来ればいいのに」

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