テキストサイズ

白い雪のような

第2章 夜の逢瀬

「何でそんなに洸太にこだわるの?」

「こだわってるわけじゃないよ?」

「じゃあ、何?」

「好きなだけだよ」

「ウソだ!」

「ウソじゃないよ」

「だからあんな…ことするんだ」

「そう」

「ウソばっかり…」

「………なんで、そう思う?」

「お兄さんに…そんな資格はない!」

「朗、好きに資格はいらないよ。
相手を思うのは自由だ。
答えてくれるかは相手次第だよ」

「………」

「答えて欲しいなら
ちゃんと伝えればいい。
伝えもしないで、
何か言うのは問題外だ」

「僕は……」

「だから、来ればいいって
言ってるんだよ。
朗、自分から何かしなければ、
何も変わらない。
まして洸太相手じゃね」

何を言ってもこの兄には敵わない。

悔しさに唇を噛んで、
うつむくことしかできない。

「欲しければ奪えばいい。
僕には時間がないから、
むしろそうしてくれると助かる、かな」


え?

薄っすらと浮かべた笑みは、
今にも消えそうな程儚かった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ