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白い雪のような

第5章 汚れた道

「惺、起きてるか?」

周りを憚るような静かな声。

「はい」

年に何回かある変化、
密かに待ち望んでいた声が
聞こえた。

「体調はどうだ?」

「特になにもありません、いつも通り」

「そうか」

入ってきたのは、叔父の陽司。

年若いこの叔父は
よく惺の部屋を訪れ、
いろんな話を聞かせてくれた。

その話は外の世界を知らない
惺には楽しくわくわくすること
ばかりで、
陽司が部屋に来るのを
心待ちにするようになった。





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