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白い雪のような

第5章 汚れた道

小さい頃からかわいがって
くれた叔父が
結婚して屋敷から
いなくなって、
惺の世界は色を失った。

この時惺は思い知った。

この部屋の狭さを、
自分の世界の狭さを。

陽司が話はおもしろくて、
いろんな事を知ることができた。

だがその分だけ陽司には
陽司の世界があって、
その一片を話してくれていた
に過ぎない。

自分の知らないところで
生きている。

それをほんの少しだけ
教えてもらうことしか
できない自分。

自分の心の中は
陽司でいっぱいだったことを
伝える間もないまま、
閉じた世界。



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