向かいのお兄さん
第11章 計画失敗
あたしは冷蔵庫のビールを全て出し、テーブルに並べた
「美咲も飲むのか?」
『え』
あ、ミスった
あたしが喉渇いたって言い出したのに…
『あ、あたしは麦茶で…』
いそいそとキッチンに戻り、麦茶と一緒にコップも二つ用意した
突っ立ったままの直也を座らせ、ついでにコップも持たせる
「注いでくれんの?」
『だって女の子ですから~』
今だけね、今だけ
あたしは缶ビールの蓋を開け、直也の手にあるコップに注いでいった
「っとと…」
溢れそうになった泡を、直也は急いで吸った
「下手くそ」
ムカ
『そのうち上手くなるから』
あたしがあんたと関わるのは、今日で最後なんだから
あたしのご奉仕を堪能するがいい