向かいのお兄さん
第11章 計画失敗
直也はビールをぐびぐびと飲んでいった
すごいな
あたしもお父さんのビール、ちょこっともらったことあるけど
苦すぎて飲めなかった
「ぷは…んま」
口元についた泡を指で拭い、直也は空になったコップを突き出した
『はいはーい』
もう一度あたしは、ビールを注いでいく
そして直也は、喉を鳴らしながら美味しそうに飲む
「美咲も、飲む?」
『いや、あたしはいいや、ビール苦いし』
って言うよりかは、大事なプロジェクト中なんだから
下手に酔ったりできないのよ
「…そっか」
直也は少し寂しそうな顔をしながら、底に溜まったビールを飲み干した
あたしはちらっと時間を確認する
もう5時だ
さっさとしないと、すぐに夜になってしまう