向かいのお兄さん
第14章 影
『マジ何なんだあいつ…』
あたしは携帯をポケットに仕舞い、もと来た道を引き返そうとした
振り返って、目に留まったのは
下校中に出会った男
『あ』
「やあ」
男はニコッと笑い、軽く手を振った
あたしはペコッとお辞儀をし、『場所変えられました』と言い
笑いながら、その場を通り過ぎようとした
しかし、肩を掴まれる
『?』
「神崎君から、連絡あったの?」
『ああ、はい』
男は少し黙り込んだが、すぐにまた笑顔を見せ
「ちょっと来て」
と、あたしをどこかへ連れて行こうとした
『え、いや、あの…あたし呼ばれてるんで…』
あたしが拒むと、男はあたしの方を振り返った
さっきまでの優しそうな笑顔とは打って変わって
冷たく 恐怖を与えるような眼差しを
男はあたしに向けた