向かいのお兄さん
第14章 影
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『…ここって…』
結局、抵抗することも出来ずに
あたしは男に、ある建物へと連れて来られた
「ああ、ホテル」
『…』
今さらながら、やっと気づいた
男が"直也が駅前に来いと言っていたこと"は嘘で
あたしは騙されて
こんなとこに来てしまったんだ
逃げないと…とは、もちろん考えた
けれど男の手は、あたしの腕をガッチリ掴んで
離す気配はない
『嘘…ですよね…?』
「ここまで凝った嘘、つくわけないでしょ」
男は強引に、あたしをホテルの中へと連れ込んだ
『…』
初めて入る…
待って
このまま行ったら、あたし、されちゃうってこと…?