向かいのお兄さん
第17章 だから…
「一ヶ月くらい?」
「ううん、2、3年かな…」
「…」
俺は、俺のことを優しく見つめる綾子の目を見た
その目が俺を、心細くさせる
「…長いな」
「うん…だから、出発前に直也に挨拶しにきたの」
「…ふーん」
そっけない俺の返事に、綾子は少し寂しそうな顔をさせた
「ごめん、勉強の邪魔だよね…じゃあ帰るから…」
綾子はゴミだけ片付けると、スッと立ち上がった
「直也の家族にも、お邪魔しましたって伝えといて…」
「え、おい…」
顔を見せようともしない綾子を
俺は抱きしめてしまった
「っ…直也…///」
「行くなよ…会えなくなるとか…嫌だ…」
止めたかった
止めるだけだった
つもりだった