向かいのお兄さん
第17章 だから…
「…良かったら、うちで働くか?」
「…いいんすか?」
俺が窺うような顔つきでおじさんの顔を見ると
おじさんは笑った
「いいともさ、君は学生か?」
「…高3っす」
「それなら、もう受験シーズンか。どうするんだい?」
「明日…試験があって…」
「そうか…頑張れよ、まぁもしダメであっても
お前さんは雇ってやるよ!!」
この人は冗談で言ったんだろうか…
俺は花を見つめ
その場を後にした
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〈7時30分発、〇〇行きは、3番乗り場から発車いたします―――〉
「…」
俺は時刻表に映し出される時計を確認し
自分の腕時計も確認した
「3番乗り場…」
遠くから、チカッとライトが見えた
電車は徐々にスピードを緩めながら
最終的に停車した