向かいのお兄さん
第19章 心から
「試験まで、あと何日だっけ?」
『3週間だよ』
あたしは数学の問題を解きながら
素っ気なく答えた
「んじゃもう、追い込みの時期か」
『そうだね』
「…」
直也はあたしのお腹周りに腕を回した
ほっぺをくっつけるようにして、あたしの背中に顔を埋める
『…』
あたしは気になった
直也はいつも、こんなことしない
『…直也?』
「…」
『寝てんの?』
「寝てない」
言葉だけが返ってきた
まだ腕も顔も、全然動かそうとしない
『書きにくいんだけど』
「もうちょっと…」
『…』
あたしはため息すら吐かずに
また勉強に取り掛かった