向かいのお兄さん
第24章 今この時間
すると直也は
クスッと軽く笑いを漏らした
「おっかしー…」
そう言いながら、自分が書いた字を撫でる
「記憶ないのに…これ俺の字だ…」
『…そうだよ…?』
一押しするように、あたしは口を開いた
『これ…直也が書いたんだよ?』
「…」
『…直也が…』
思い出してほしい…
お願い…
思い出して?
どんなことでもいいから…小さなことでもいいから…
ちょっとくらい…
思い出してよ…
『あたしはね…!!』
ベッドに乗っかると
あたしは直也の前に、背中を向けて座った