向かいのお兄さん
第35章 彼女
「もしかして、直也のことか?」
ずばり当てられ、あたしはつい唇を突き出した
どう返事すればいいのかわからない
「そういえば直也と美咲ちゃん、付き合ってたんだよなー…」
何となく思い出すように、かっちゃんはゆっくりと直也に視線を送った
しかし直也はこちらに気づくことなく
イスを運び出している
そんな直也のそばに駆け寄るのが、由紀先輩
直也は無愛想な顔しかしないんだけれど
どこか素直に、由紀先輩を受け入れているように見える
そして
それを黙って見ているあたし…
「…そういえば…」
かっちゃんはもう一度
あたしに視線を戻した
「あの二人、この前キスしてた」