向かいのお兄さん
第51章 甘い形で示したい
『バレンタイン…』
あたしは電撃でも喰らったかのように、頭上にビリビリときた
『バレンタイン…!!?』
「声でかいよ」
遥に注意され、パッと口を隠す
「でね、あたしが真心込めて作って、あいつにあげるの」
『愛を示すわけですな、閣下』
「ですな、大臣」
そうかそうか…
遥に言われて気づいたけど、もうすぐバレンタインなのか…
そういえば、もう2月に入って一週間経つよね…
「美咲もプレゼントしたら?
愛の証~♪」
『いや、でもあたし、お菓子とか作んないし…』
と言いかけると、遥の一喝が飛んできた
「何言ってんの!!
あんたの、彼氏に対する想いはそんなにちっぽけなわけ!?」
『いや、そういうわけじゃ…』
「作りなさい、作れ!!」
迫り来る遥の気迫に、圧倒される
『そ、それより、あたしこのケーキ買うっ』
遥から逃げるように、あたしは棚に並べてあるケーキを指差した