向かいのお兄さん
第51章 甘い形で示したい
「じゃあ今日は、とりあえずプチチョコケーキでも作るか」
『うえ〜い』
「もちろん美咲ちゃんが作るんだよ?
食べるだけは無しね」
『うっ…わかってますよ…!!』
あたしは本心を見透かされ、顔が真っ赤になってしまった
雅也さんは自慢のエプロンを腰に巻くと、「さて…」と手をこすり合わせた
この前襲われかけたので心配もあったけれど
どうやら雅也さん
お菓子作りのことになると、子どもみたいに夢中になってしまうようだ
そういう姿を見ていると、正直嬉しくなってしまう
「まずは手洗い。
手首までしっかりね」
『はーい』
あたしは、今日からバレンタインデーまでお菓子作りを教えてもらえないかと雅也さんに頼んでみた
今後のためにも、いろんなレシピを頭に叩き込んでおきたいとも思ったから
こんな大胆な行動に…
で、案外あっさりOKを出してもらえて
今はその記念すべき第1日目を迎えている訳だ