
手紙~天国のあなたへ~
第5章 夫婦
「そなたのチゲはいつも絶品だ」
愃は褒め上手なので、留花はついその褒め言葉に奮起して、次回もまたそれ以上に張り切って作ってしまうのだ。
「おお、そうだ。チゲがあまりに美味いゆえ、忘れるところであった」
愃は忽ち丼三杯を平らげ、四杯目をお代わりしている間、のんびりと思い出したように言った。
「これをそなたにと思って、持ってきた」
四杯目のチゲを手渡して貰いながら、愃は懐からおもむろに小さな包みを出す。
鮮やかな牡丹色の風呂敷を解くと、小さな青磁の陶器が出てきた。小さいが、精緻な模様の入った高価そうな壺である。うっかりと落として割らないように細心の注意を払いつつ、蓋を開く。中に入っていたのは緑も瑞々しい茶葉であった。
「これは―お茶ですか?」
留花は大きな黒い瞳を輝かせた。
「うむ」
愃は歓ぶ留花の顔を見て、また満足そうだ。
愃は褒め上手なので、留花はついその褒め言葉に奮起して、次回もまたそれ以上に張り切って作ってしまうのだ。
「おお、そうだ。チゲがあまりに美味いゆえ、忘れるところであった」
愃は忽ち丼三杯を平らげ、四杯目をお代わりしている間、のんびりと思い出したように言った。
「これをそなたにと思って、持ってきた」
四杯目のチゲを手渡して貰いながら、愃は懐からおもむろに小さな包みを出す。
鮮やかな牡丹色の風呂敷を解くと、小さな青磁の陶器が出てきた。小さいが、精緻な模様の入った高価そうな壺である。うっかりと落として割らないように細心の注意を払いつつ、蓋を開く。中に入っていたのは緑も瑞々しい茶葉であった。
「これは―お茶ですか?」
留花は大きな黒い瞳を輝かせた。
「うむ」
愃は歓ぶ留花の顔を見て、また満足そうだ。
