
手紙~天国のあなたへ~
第6章 別離
幾ら留花が愃を恋い慕っているとしても、男にそこまで言われて恋々と情をあからさまに寄せるような真似はできない。留花が最も怖れたのは愃に嫌われることよりも、嫌われてもなお未練がましく終わった恋に執着し続けることであった。鬱陶しい女だと疎まれるのは、嫌われるよりも辛いことだ。
そういう意味でいえば、確かに愃は狡い男なのかもしれない。
成洙がいつか指摘したように、留花がただ利用されているだけ、一時の慰み者になっているだけだと言われても仕方のない部分もあった。その一見奇妙な関係であることを除けば、愃は優しかった。閨の中ではまるで冬の嵐のように留花を翻弄し、留花は愃の腕の中で幾度もその花びらを散らした。
臥所の中では人が変わったように大胆になる愃ではあったが、その他で留花に接するときはこれまでと変わらず物腰も穏やかで取り乱すことはない。留花の作ったけしてご馳走とはいえない手料理を嬉しげに食べ、愃と逢わなかった間の話を彼女から興味深げに聞いた。
そういう意味でいえば、確かに愃は狡い男なのかもしれない。
成洙がいつか指摘したように、留花がただ利用されているだけ、一時の慰み者になっているだけだと言われても仕方のない部分もあった。その一見奇妙な関係であることを除けば、愃は優しかった。閨の中ではまるで冬の嵐のように留花を翻弄し、留花は愃の腕の中で幾度もその花びらを散らした。
臥所の中では人が変わったように大胆になる愃ではあったが、その他で留花に接するときはこれまでと変わらず物腰も穏やかで取り乱すことはない。留花の作ったけしてご馳走とはいえない手料理を嬉しげに食べ、愃と逢わなかった間の話を彼女から興味深げに聞いた。
