
手紙~天国のあなたへ~
第2章 雪の記憶
留花は知らぬ間に、男の整った横顔を凝視していた。意思の強そうな濃い眉、男にしておくのは勿体ないくらいのくっきりとした眼、何よりその双眸から放たれる光は対する相手を思わずその場に縫い止めてしまうかのような強さを秘めている。
「騙す? 黙って聞いてりゃア、随分と人聞きの悪いことを言いやがるもんだぜ。俺がいつ、この娘っ子を騙したっていうんだよ、え、旦那(オルシン)」
職人の男は居直ったように尊大な態度で仁王立ちになった。
と、対する男は意味ありげな笑みを浮かべ、一歩、職人に近づくと、やおら、その右腕を掴んだ。
「なっ、何を」
言いかけた相手にはいささかも頓着せず、その腕をねじり上げる。
「いけません!」
留花は男を止めようと二人の間に割って入ろうとした。
「騙す? 黙って聞いてりゃア、随分と人聞きの悪いことを言いやがるもんだぜ。俺がいつ、この娘っ子を騙したっていうんだよ、え、旦那(オルシン)」
職人の男は居直ったように尊大な態度で仁王立ちになった。
と、対する男は意味ありげな笑みを浮かべ、一歩、職人に近づくと、やおら、その右腕を掴んだ。
「なっ、何を」
言いかけた相手にはいささかも頓着せず、その腕をねじり上げる。
「いけません!」
留花は男を止めようと二人の間に割って入ろうとした。
