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刑事とJK

第16章 過去







そんなある日訃報が届いた



「…北田さんが!?」



刑事課中がざわめいた



「村上!!」


斉藤は勢いよく扉を開けた


村上は窓際にもたれていて、
外からの光でその顔は見えづらかった




「北田さんが…死んだってほんとか!?」



『…ああ』



村上は、斉藤に目を合わせようとはしなかった




『アイツは…いい奴だったな…』



「なんでいきなり…」


『逃げる犯人を捕まえて、争って…
犯人が持ってたナイフで刺されたって…』



村上は斉藤を見た




『病院に運ばれた時には…
もうダメだったって…』



その目には溢れんばかりの涙が溜まっていた


村上とは一年以上の付き合いだが、
涙を見たのは初めてだった




それだから余計に、
斉藤はその村上の顔を見ていられなかった




「っなに泣いてんだよ…!!」




斉藤は村上を抱き寄せた


負けん気も力も強くて、刑事としても一人前の村上は、
自分よりもこんなに小さく、やっぱり泣いたら女の子だった




斉藤は体全部で包むように村上を抱きしめる


村上の震える手も、
しっかり斉藤の背中を掴んだ




『…ぅえぇぇん、斉藤っ…あたしぃ…』




「…」




斉藤は黙って抱きしめ続けた






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