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刑事とJK

第46章 点を結ぶと







「弥生、何を見てるんだ?」





啓太が尋ねると、
弥生はテレビを指差して言った



「カヤテ」



「カヤテ?
ああ、空手か」



幼いから舌がちゃんと回っていない

そんなところが
可愛らしくて仕方ない




「弥生は大きくなったら空手選手になるのかな?」


「ううん、お巡りしゃん」



弥生は首を振った



「お巡りさんか、
弥生ならカッコイイお巡りさんになれるよ」




啓太は弥生の頭を撫でた


ちょうど自分が
父親にしてもらったように





「飛鳥わね、お花屋さんと、
ケーキ屋さんをね、すりゅの」



飛鳥は啓太に自分のことをアピールする


「じゃあ飛鳥は、
きれいなお花と、おいしいケーキを
おじさんにくれるのかな?」



「うん、あげる!!」




啓太は「ありがとう」と、飛鳥の手を握った












しかし、啓太は大学での研究を評価され、
特別研究員と大学教授とを兼ねて働くこととなった



おかげで忙しい毎日を送るはめになり、
弥生や飛鳥に会いに行く機会はなかった
















「兄ちゃんが…死んだ?」



夫婦二人で、買い物から帰る途中に
交通事故にあったそうだ…



その時、双子はまだ7才




仕方なく、双子は母方の親戚の家に行くこととなった








「あんたら…馬鹿だよ…
あんな小さい子を残して死んでいくなんて…」







啓太は泣いた



兄とその奥さんの死に対してはもちろんだったが、
何よりも弥生と飛鳥が不憫で不憫でならなかった




もう、彼女たちとは一度も会っていない…








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