願わくば、いつまでもこのままで
第11章 邪魔者が一人
「俺、いつもお前に
好きな人ができたら報告してただろ
そしたらさ、毎度
少し驚いた後、息をついて
『よかったじゃん』て、ただ一言
俺お前に好きな人がいるとか
彼女がいるとか
いままで一度も聞いたことないな」
「そりゃ、だって、
別にわざわざ
兄貴に言わなくたっていいだろ」
目を背ける陽に対し
呆れながらも、まだ兄は言葉を連ねる。
「そうやってしらばっくれても
意味は無いともうわかっただろ
昔から誤魔化して
陽はそればっかだよな
苛つく」
「そんな……こと……」
言葉が出ない
否定できない
弟は口を閉じるばかり。
「だから、わかっていたから
俺はお前にあいつを
比奈を会わせなかったんだよ」
「比奈、ちゃん……」
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「そういえばお前童貞じゃないよね?」
「なっ……なんでそうなる!!!」
「だっていつも好きなやつ
俺に譲ってばっかで…」
「大丈夫だから!!!
兄貴の知らないとこでちゃんと…って
俺、なに言ってんだろ……」
陽、赤面。