テキストサイズ

願わくば、いつまでもこのままで

第11章 邪魔者が一人






和斗はふぅ…と息をつく。





「さっき言ったよな
俺はずっとお前に負け続けてきた…
陽こそいつも好かれてモテてて……むかつく」



「は?」



「あー、間違えた
そうじゃなくて比奈に会わせたくなかったっていうのは、比奈が陽に惚れるケースもあるだろって話だよ」










ははっ……



と渇いた笑い声。





陽はそんなことありえないと
笑いながら

兄貴の顔を確認するが


和斗の表情は変わらない。








「いや、だって、でも、だからこそ
俺が初めてあの人に会ったのが
結婚式場でよかったじゃん
ここまできたら、
それ、わざとなんだろ?」






「ああ、もちろん
会わせろと挨拶させろと
せがむ比奈を抑えていたよ」






「じゃあ
じゃあそれでいいだろうが!!」







「うるせえよっ!!!!!」















陽は唖然としていた。






聞いたこともない兄貴の怒声










和斗は少し咳き込むと



陽の上から退き

壁を頼りに立ち上がる。






陽は振り返り和斗の動きを目で追うが



兄貴の顔は見えなかった。











「現状は…
…そうじゃねえだろうがっ……」










小さな掠れたような声が

震える吐息とともに


静まっていた病室にきこえた。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ