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願わくば、いつまでもこのままで

第7章 キスしたい


「……陽君?」


「あ、ごめん。ちょっと考え事してた」


「ううん、大丈夫。勉強またやる?」


「あ、そだね。
じゃあ、よろしくお願いします」


俺は笑ってそう言った。

笑った、というより無理矢理口角を上げたもの


俺を見て比奈ちゃんは苦々しく笑った。






それから夕日が鮮やかになる頃まで

数時間比奈ちゃんに勉強を教わった。



それから2人で図書館を出た。

俺は駐車場からバイクを取ってくる。



「家まで乗せていこうか?」


「ううん、今日はいいよ。ありがとう」


「いや、全然」



あれから少し気まずかったものの
でも前よりすっきりして話すことができた。


本当に、よかった……


「比奈ちゃん今日はありがとね
勉強教えてくれて」


「どういたしまして
でも、私の説明で分かったならいいけど」


「それはもちろん」



適当に話しているところに急な突風が吹いた。


「きゃっ」



俺は咄嗟に身構え
比奈ちゃんはスカートと長い髪を抑える。


風が弱まったところで2人眼を開けると

ちょうど目があい見つめあった。


惹きこまれて、離れられない……


俺は比奈ちゃんを見つめると同時に
自然に目が唇にも行った。

きれいに潤っている彼女の唇…


ああ、どうしよう

いますぐ…


……キス…


「……したい」


「え?」


次第に顔を近づけていく。

比奈ちゃんはその行動で気づいたのか1歩後ずさった。

だが俺が比奈ちゃんの片手首を掴み
強引に引き寄せる。

一気に距離が縮まった。



キスしたい


そして耐えきれずにいたのか
比奈ちゃんが目を閉じ唇が触れる、というところで俺は我に帰ったように勢いよく顔を離した。


比奈ちゃんは目を開け呆然と俺を見る。


俺は「さよなら」など
何も言えず何も言わずサッとバイクに乗るとすぐに走らせ図書館をあとにした。




したい、と思ってもキスは駄目だ

キスしたら、もう止まれなくなる


キスが、俺にとっての境界線


プールのときと今日でしそうになったのが2回







そろそろ、潮時かもしれないな



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