テキストサイズ

All Arounder

第11章  High School Student





外へ出ると、朝の空気が澄んでいて気持ちよかった


姫は学校の場所がわからないので、大志の少し後ろを歩いた



「姫は…学校とか行ってたのか?」



『ううん、行ってない。ずっと家庭教師だった』



「…義務教育は?」




『…あたし…』




姫は足を止めた






『生まれてないの』







「は?」



大志は思わず振り返った




『あたし、生まれてないの』



「…意味わかんね」



『生まれたことに…なってないの』



姫は俯きながら、また足を進めた




『住んでいた屋敷には…あたしの名前も、写真も…生きてきた証は何も残されていないの…。
この国が…あたしの存在を知らないままでいる』



「何で?」




『わからない…でも、だから小中学校は行かずにすんだ』



「…ふーん」




『だから…』




姫は前を向いた





『今すごく楽しみ…///』




姫の声は




笑っていた







顔は変わらなかったけど




それに気づけたオレは、嬉しかった







ストーリーメニュー

TOPTOPへ