All Arounder
第11章 High School Student
大志の母親の手料理は、やっぱりおいしかった
あたしは
お母さんの料理を
食べたことがない…
『大志…』
「ん?」
大志は卵焼きをかじった
『…お弁当って…いいよね』
「…」
大志はゆっくり
あたしの頭をポンポンと叩いてくれた
「また作ってもらえ」
大志は気づいていたのだろうか
あたしが心の中で泣いていることを…
――――――――
その日の授業が終わり…
大志は帰る準備をし始めた
「姫、学校どうだった?」
『楽しかった///』
「よかったな」
ほほ笑んでくれると
あたしの心が軽くなった気がした
さあ帰ろう
そう思ったときだった
ちょうど隣で、数人がしゃべっていたのだ
「いいよなー、俺の親父なんて毎日グータラしてばっかだぜ」
「まだマシよ。
あたしの父さんなんて、クビになっちゃったんだから」
すると一人が、大志に話を振ってきた
「大志はいいよねぇー、お父さん刑事でしょ?
超カッコイイじゃん」
『…』
大志の父親…刑事だったんだ…
ガシャンッ!!!
机が蹴り倒された
倒したのは、大志だった
「その話はすんなっつってんだろ」
「あ…ごめん大志っ…」
大志は鞄を持って教室を出ていった