All Arounder
第15章 Jealous
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喫茶店に入ると、陽気なBGMが流れているのと共に、コーヒーを煎る香りが漂ってきた
客もそこそこで、とりあえず窓際にある二人掛けのテーブルについた
「お腹空いたなー、何食べよっかぁ?」
ご機嫌な様子でメニューを手に取り、それに視線を落とす円香
自分は、今は仕事でこいつの恋人だが
実際の恋人とのデートも、こんな風なんかな…
こんな…どうでもいいと思えるような外出…なんかな
「大志は何食べるぅ?」
「いらねぇ」
「ちょっとぉ」
気に障ったようだ
「…んじゃ、サンドイッチ」
「わかった、じゃあ注文するね」
ピンポーン
と呼び出しボタンを押すと、そう時間のかからないうちに店員が来た
「ありがとうございます、ご注文は?」
「えーっと、日替わりランチAと、サンドイッチ」
「かしこまりました、失礼します」
注文を終えると店員は厨房へ向かい、大志は口を開いた
「何でこんな依頼をしてきたんだよ?」
「今は彼氏でしょー?」
「…はぁ」
溜め息をつくと、怒られた
「ちょっとぉ、溜め息なんてつかないでよ。あたしとのデートは楽しくないのぉ?」
「ごめん、楽しいから…はぁ」