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「お嬢様…本当にご無事で何より…さぁお屋敷に帰りましょう」


『…いや』



姫は大志の後ろに隠れたが、使用人は強引にも姫の腕を掴んだ



「お嬢様…もう子供ではないのですよ!!」


『や、やだよぉ!!』







「｢離せ｣」






そう聞こえたかと思うと、使用人は腕を大志に、胸倉を井上に掴まれた




「な…何をするのですか…!?」



使用人は二人を振り払った




「嫌がる女の子を連れ去ろうなんざ、ただの誘拐じゃねぇか」



「…（まぁ、俺らも人のことは言えねーけどよ）」




使用人たちは身構えた


こちらを警戒しているのはすぐにわかる




「それなら…あなた方はお嬢様の何なんだ!!」




「オレらか？」




大志は、井上と姫の顔を見た



そしてフッと笑みをこぼす





「All Arounderだ。
訳ありで"お嬢様"に依頼されてんだよ」




「依頼…？
お嬢様、どういうことですか!?」



使用人たちは納得いかない様子だ


姫は大志と井上の間から顔を出した



『…何でもいいでしょ』



「お嬢様…」





どこか諦めの入った声の後に、こう聞こえた





「お嬢様を誘拐したのは、あなた方じゃないのですか？」




「…」



『…』



「…はははははー
…逃げろ!!!」





大志と井上は姫の手を掴むと、反対方向へ走り出した