All Arounder
第19章 Tell A Lie
「姫…!!」
大志は叫んだが、姫を乗せた車は走り出した
「くっそ…!!」
追いかけようとしたが、周りの使用人は次々と襲い掛かってくる
上から横から振り下ろされる棒をかわし、大志は攻撃を加えていった
しかし最初の…頭の傷がズキズキと痛む
「てめぇら邪魔してんじゃねぇえ!!!!」
『早く下ろして!!何でこんなことすんの!?』
姫は車の中でも腕を押さえられ、ただ口で反抗することしか出来なかった
「お嬢様、落ち着いてください」
『うるさい、落ち着いてほしかったら下ろして!!』
「お嬢様…どうなさったのですか…?
少し見ぬ間に、性格まで別人のようになられて…」
『あんたたちが、いつあたしを見ていたっていうの!?』
あの屋敷で
あたしは朝も夜も
ずっとひとりぼっちだったのに…
『あたしのこと、知った風な口利かないで!!』
「お言葉ですが、私どもと交わりを持とうとしなかったのはお嬢様の方です」
『…』
その言葉に、姫は言い返せなくなった
なぜって
向こうの言い分が、正しかったからだ