All Arounder
第20章 Side By Side
「な…何を言って…」
黒羽は動揺を隠せないようで、使用人を見る目はキョロキョロと動いた
「ネックレスを無くしたなんて…このガキ、とんでもないことしてくれたよ…」
使用人が呆れた声で呟くと、姫と黒羽の周りを他の使用人たちが取り囲んだ
『…!!?』
「…ど…どういうつもりだ…?」
黒羽は姫の体を抱き寄せた
「黒羽…ガキを離せ、今からネックレスの在りかを吐かせる」
「正気か…!?たかがネックレスになぜ…!!」
「黒羽…お前は本当に何も知らなかったんだな」
喋っていた使用人は、車の座席にドカッと腰を下ろした
「あのネックレスにはな…西浦家の財産30億を引き出すための番号が記されているんだよ」
『え…!!?』
知らなかった…
だからお父様は、あたしにネックレスを渡したの…?
「まさか…最初から財産狙いだったのか…!?」
黒羽は敵意を剥き出しにしながら怒鳴った
「当たり前だ。でなきゃ、あんな頑固なオッサンに仕えたりしないだろ?
まぁ、お前はそこのガキにべったりだったから、財産なんてどうでもよかったろうがな」
『…』
姫は黒羽の顔を見上げた
黒羽はただ、悔しそうに唇を噛んでいた