All Arounder
第27章 Black Wing
「姫、もっと速く走れっか!?」
もうすでに引っ張られてこけそうな勢いなのに
これ以上速くなんて…
ううん
違う
この手がどこまでもあたしを引っ張ってくれるなら
あたしはどこまでも、あんたについて行く
『うん!!///』
「うっしゃ、その意気だ」
だからずっと
離さないでね
大志と姫は、生活用品店に逃げ込んだ
畳まれた布団が棚に積まれ、大志はその棚の中に潜り込む
「姫、早くっ」
『で…でも…』
姫はそのそばに置かれた
"商品の上に乗らないで下さい"
の札が気にかかっているようだ
「んなもん気にすんな、早く」
大志が横になりながら手招きするので、姫は躊躇いながらも背中から入った
『狭い…』
布団と棚の天井とで、圧迫されている気分だ
「馬鹿、そんな浅いとこいたら見つかっちまうだろ」
『え…あ…///』
姫は無理やり体を持って行かれ、棚の奥まで入った
「よし、あんましでけぇ声出すなよ…?」
無理だよ…
『た…大志、やっぱり出よ…』
「はぁ?何で」
『だっ…て…///』
大志の息が…首元に掛かるんだもん~!!///