All Arounder
第32章 Go Mad
『大志、誤解だって!!
そんなこと何にもしてないよ!!それ、退斗の勝手な妄想だし…』
「…」
姫の言葉を聞き、大志の手が若干緩んだ
「んじゃー…今理由を作ってやるよ」
井上は姫の体を掴むと、唇を奪った
『!!?///』
目の前で見た大志は、抑え切れなかった
「井上ぇええ!!!!」
ブンッと大志の腕が振り上げられる
しかし大志が殴る前に、パンッ!!という高い音が鳴った
「…」
井上は打たれた頬を触った
チクチクとした表面的な痛みが、じわじわやってくる
『ほんっとに子供!!!』
姫は赤くなった右手を下ろし、物凄い剣幕で怒った
「姫…」
大志も驚きのあまり、呆然としている
『いい年した大人が何さ!?
不満のはけ口がわかんないからって他人を巻き込まないでよ!!』
「…だって俺は…」
『言い訳なら聞きたくない!!』
すると今度は、姫は大志の方を向いた
『大志、
退斗はあんたの歪んだ笑顔見たさに何でもする変態だって、よく理解しといてね』
「…変態ってことは前々から知ってたけど…」
『理解、しといてね』
「…はい」
『それからもうひとつ言わせてもらうけど…』
姫は大志をキッと見上げた