All Arounder
第36章 Past
偶然って凄いと思う
「大志、お父さんとお母さんはどこに行ったの?」
「…わかん…なぃいぃい」
びえぇーと、また泣き出してしまった
どうするべきかな…
ゆうひちゃんには会いたいけど、斉藤には会いたくないしな…
かと言って、この小さな男の子をほっておくというわけにもいかなかった
「さっきまで一緒にいたの?」
しゃくりあげながら、大志は目一杯頷く
「それじゃあ、俺と探しに行こ?
お父さんとお母さんを、ね?」
また無茶苦茶に頷くと、大志は俺の手を握ってきた
「…」
俺の手は、その小さな手全てを包み込むようにした
子供がいたなら…
どれほど愛しく思ってやれるだろう
斉藤もゆうひちゃんも、ずるいよ
"大志"の名前、付けちゃうなんて…
この時、大志を見る俺の目は
一体どんな色をしていたんだろう…?