All Arounder
第36章 Past
「大志、お父さんとお母さんはどんな人?」
手を繋いで歩いていると、大志はよくわからないような顔をした
「ごめんね、お父さんとお母さんは、好き?」
するとさっきまでの泣き顔は何だったのか
大志は表情をクシャッと潰して笑ったのだ
「だぃしゅき」
そんな大志に、俺はほほ笑み返すことも出来なかった
よっぽどあの二人が、羨ましく思えたのかもしれない
そんな俺の険しい様子を大志は感じ取ったのか、恐る恐る言ってきた
「…だぃじょーぶ?」
こんな幼い子供に心配されてしまうなんて、お笑いものだ
それでも、もしこの子が
"俺の大志"であったなら…
急に心細くなった
理由なんてわからない
けれど、やっとまた、自分の居場所が帰ってきてくれたように思え
大志を抱きしめたんだ
「ぉじちゃん…だぃじょーぶ…?」
「おじちゃんだなんて…やだな…まだそんな…年じゃ…ないょ…」
大志は…俺の"大志"じゃないんだよね
知ってるよ
君には、ちゃんとした父親も母親もいるんだ
知ってるよ
知ってる…けど…