All Arounder
第40章 Care For You
「なぁ、ほんまに大丈夫なん?熱は?」
「余裕だ、余裕過ぎて割り箸で逆立ち出来る」
「…どうやってす…」
「例えだ例え!!頭使え馬鹿」
二人は地面や木の根本をくまなく探していった
「…普通の松茸すらねーじゃねーか、お前嘘ついたの゙かよ…」
「ついてへんもん、ほんまにこの時期はぎょうさんあんねんでー?」
葵は髪を耳に掛けながらしゃがんで松茸を探した
「…」
そんな葵の髪を、井上は持ち上げる
「あっ、何すんの…!?///」
「髪、地面にずっちまうだろーが
せっかく綺麗なのに、もったいねーだろ」
「…///
よ、余計なお世話や」
葵は立ち上がると、腕に通しておいたヘアゴムで髪を束ねた
軽い団子状にし、しゃがんだ時に地面につかないようにする
「あ、それも似合う」
「い、いちいちやかましいねん!!///」
「…」
井上は少し口を尖らせ、また松茸探しに専念した
葵は、てっきり井上はまた何か言い返すとばかり思っていたので
予想と外れたリアクションに、少し寂しさを覚える
「う…うちの…///」
「?」
井上は、仁王立ちして俯く葵に、顔だけ向けた
「うちの髪が…地面とずったら…もったいないんか…?///」
笑うでもなく、怒るでもなく…井上はただ
「だから、そう言ったじゃねーか」
とだけ答えた