All Arounder
第41章 Rival Company
「近くって…どこだ?」
大志は姫に尋ねた
『あたしが買いに行ったスーパーの隣。
大きなビルが建ってるなぁって思って見てみたら、"何でも屋"って書いてあったの』
「マジかよ…」
井上は頭を抱えた
『え、何か悪いことでもあるの?』
「そりゃそうだ。客は今までの半分くらいに減るんじゃねぇか?」
「ああ…何でも屋は全国ちらほらいるけど…こんだけ近いとなー…」
みんな黙り込んでしまった
「敵情視察でもしてきたら?」
マスターのその一言に、大志も井上も立ち上がった
「黙って見ちゃいれねぇ…」
「ああ、この辺りは俺らのシマだって分からせてやらねーと」
そう言いながら酒場を出ていく二人
『あ、待って、あたしも行くっ』
姫もバタバタと二人の後を追いかけていった
「全く…All Arounderは単細胞の集まりだな」
マスターは苦笑しながら、ゆったり流れるジャズミュージックを堪能した