All Arounder
第52章 Young Girl
「お、おい、どうしたんだよ!?」
一人が駆け寄ると、仰向けになっていた若者は目を回していた
その若者の隣から、また別の男がスクッと立ち上がる
「だ…誰だお前!!」
「こいつに何したんだ!?」
若者たちは、男に向かって吠える
「オレか?」
すると、男は口を開いた
「刑事だ馬鹿野郎」
言い終えるや否や、男は次々に若者たちを投げ倒していった
襟首と手首を掴むと懐に飛び込み、自分に巻き付けて地面に叩き落とす
「ぐあっ!!」
「いっ…てぇ」
若者たちは寝転んだまま呻いた
「さて、そんじゃおめぇら、セクハラ容疑で刑務所でも行くか」
「!!」
「やべぇ…逃げんぞ!!」
若者たちは、起き上がれた者から順に、すぐさま走り出していった
「ったく…」
男は軽く土埃を落とすように服を払い、逃げていく若者たちを見送った
「あ、あの…!!」
「ん?」
男が振り向くと、女がこっちを見ていた
「ありがとうございます!!」
「大したことしてねぇって」
「えっと…、名前…聞いてもいいですか?」
「え?ああ…」
男は口元を上げた
「斉藤だ。
あんたも夜の独り歩きは気ぃつけろよ?」