All Arounder
第52章 Young Girl
「斉藤さん…ですか」
「おう、じゃあな」
斉藤は女に背を向けると、そのまま足を進めた
しかし…
「斉藤さん!!!」
「ぐえっ」
女に後ろから飛びつかれ、斉藤の首が絞まる
斉藤は背中を反らせ、女の腕をパシパシと叩いた
「ちょっと待て、苦し…」
「斉藤さん、ヤバいです!!」
「は…?」
後ろから覗いた女の顔が、ニッと笑った
「ちょ〜おカッコ良かったです!!
もうあたし、惚れちゃったキュン♪」
「…」
…惚れちゃったキュン?
「と、とりあえず離せ、首、首っ」
「あ、ごめんなさいっ」
女は斉藤から手を離すと、今度は腕に絡み付いた
「おい…だから…」
「斉藤さ〜ん、このままあたしを拾って下さいな〜」
「待・て」
斉藤は女の肩を掴むと、自分の方を向かせた
そこで初めてしっかりと女の顔を見る
「あんた、名前は?」
「んにゃ〜忘れちった」
女は舌をペロリと出してみせた
長い金髪はふんわりと巻いてあり、足されて増えたまつ毛は瞬きだけで風を起こしそうだ
それでも綺麗に整った顔立ちや肌のツヤなどから、暗がりながらも若い…一言で言うならギャルだとわかった