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「あー腹減ったー」



井上は自分で腹を押さえながら、誰に言うでもなく呟いた



「さっきからうっせぇんだよ、もうすぐ着くんだから黙ってろ」



「何だよ大志、その言い方はよー…」



「退斗がうっさいからやろ」



『退斗、うるさい』




大志だけでなく、葵や姫にまで文句をつけられ、井上は仕方なく口を閉ざした




『それより、焼肉屋さんどこかなー？』



姫は首を伸ばして、キョロキョロと見渡した



大志たちは受け持った仕事を成功させ、久しぶりに大金が入った


そこで今日は景気づけに、焼肉屋へ行くことにしたのだった




「食い放題だからな、遠慮すんなよ？」



「さすが大志君、男やわ～」



「葵お前…俺が焼肉屋行こーって言い出したのに…」




『退斗うるさい』




などと喋りながら、焼肉屋を目指している時だった―――







「あー!!!」





人通りの多い中、そんな叫び声が響いた




大志たちは、後ろからしたその声の方に目を向ける


…とほぼ同時に、大志は体に強い衝撃を受けた




!!??



「にゃ～ん斉藤さ～ん、お久しぶりでありんすぅ」




大志が受けた衝撃は、女が抱き着いてきたものだった





「な…誰だよおめぇ…？」