
All Arounder
第52章 Young Girl
「え~酷いじゃないですか斉藤さん…
有利香のこと…忘れちゃったんですか…?」
女…有利香という金髪の女は、涙目で大志を見上げた
「は…?
いや、知らねぇって…」
「そんな…昨日の今日なのにぃ~!!」
有利香は大志の胸に顔を埋め、泣きわめいた
「人違いだって…おい、泣くなよ…」
大志はオロオロとしている
何が一番恐ろしいって、その光景を見ている姫の無表情っぷりだ
大志は有利香を自分から離し、目を見て喋った
「あんた…誰かと間違ってんじゃねぇか?
昨日は会った覚え、ねぇよ」
「会いましたって~。
斉藤さん、妻子持ちって言ってたじゃないですか~」
『妻子持ち…!?』
姫の表情が引き攣った
「いやいや、絶対人違いだ。
オレはガキもいなけりゃ結婚もしてねぇ」
「え?」
有利香は目をパチクリとさせた
大志は、なぜ有利香が自分の苗字を知っているのかが気になったが…
「ひょっとしておめぇ…オレと親父を間違えてんじゃねぇか?」
