無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「あんたふざけんなぁ！
マスターに斬り掛かったり物騒なもん振り回したり！」


声を荒げる葵に、大志が続く


「そうだ、お前はマスターの顔すら知らなかったんだぞ…そんな相手にいきなり斬りかかるなんて」



「ミーミーキャーキャーとうるさいな〜
人の事情に口出しなんてヤボだぞ？」



刀に残った竹をバリバリと剥いでいく



有利香の手の内には、息を飲むような鋭利な刀が握られた





「テレビでしかみたことねぇようなもん持ってんな」


「あ…あれで人、斬れるん…？」



「だろうよ」



大志は次の一手に備えて身構えた





「どいてよジュニア〜」



目にも止まらぬ速さで、有利香は斬りかかってきた



ガキンッ!!!


「くぅっ」


真上からの一撃は防いだものの、椅子は横に弾き飛ばされた



「しまっ…」

「ガラ空きぃ♪」



『大志ぃい!!!!』




有利香のニ撃目が大志に飛び込む





ジャギィッ!!!!







「…」




一瞬の沈黙





「ぷっ…ぷははっ!!♡」




大志の目の前に飛び込んできたのは
マスターだった


有利香の一撃を、ソードブレイカーで受け止めて






「マ、マスター…？」





「2度と、持つことはないと思ってたんだがなー…」




マスターは受け止めていた有利香の刀を払い除け

深くため息をついた





「はははーっ！
やっぱりあんたが赤井久狼だーーっ！」



かん高い笑い声が酒場全体に響き渡る




「今みたいに、受け止めたのっ！？
そんで刀へし折って、
パパ殺したのー！？」




え？




大志も井上も、もちろん姫も葵すら

声の発し方を忘れた瞬間だった