
All Arounder
第54章 You Asked For It
「さて、話を戻すと…
淳司と再会したのは、今から7年前…になるのかな」
「7年前…?思ったより、最近だな」
「そうだな。
もう俺も退斗もすっかり今の生活スタイルが馴染んでいたころだ」
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その日は一日中、天気が悪かった
井上はAll Arounderの仕事で外出
俺が一人、酒場でグラスを磨いていると
カランカラン…
「いらっしゃい」
「ひとり、いいですか?」
入口から顔をのぞかせた男に、思わず声が上ずった
「え…淳司?」
「ん?
…あ…久狼!!??」
お互いに歳は取っていたものの、すぐさま誰だかわかった
「久狼…お前っ、こんなとこで…」
深いため息をついたかと思うと、豪快に笑いだした
「なんだよ!!
面白そうなことしてんなぁ!!
言ってくれよ辛気臭え!!」
「言うも何も、連絡先も知らないままだったんだから仕方ないだろー」
店内は二人のほかに誰もいなかった
俺はその日、さっさと店を閉めることにした
