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All Arounder

第54章 You Asked For It




「ジャジャーン!」
「うわーー!!」



背後からの退斗の叫び声に、

年甲斐もなく大声を出して驚いた

「見て見て!!ダンゴムシたくさんいた!」


「す、すごいなっ…退斗…」


握っていた手を、無意識に退斗から隠した


「もっといたから、捕まえてくる!」


「おおう…そうしてくれぇ…」


すると退斗は、猛ダッシュで遠くに行ってしまった



「…」



きゅっ


…!!?



掴んでいた手が


自分の手を握り返してきた




「マスターが叫ぶから、びっくりしちゃいました」


「あ…ご、ごめんよ」


「ふふふ、いいえ」



なんて満ち足りた時間なんだろう

ずっとこのままで、いられたらいいのにな



ふたりで、

何を話すでもなく


遠くに見える退斗を眺めていた





「…七香ちゃん」



「?」




「お誕生日おめでとう」





彼女の笑顔は

ありがとう と語りかけていた




「素敵な、誕生日になりました」




来年もこうやって


のんびりと過ごそう




君が望むなら、


俺は喜んで一緒にいるよ…





「来年も…来ようか、ここ」



「…///」




耳まで赤く染めて


「はい…///」


と返事をくれた




ありがとう、


ありがとう七香…





ただ俺、


全然、思いもよらなかった





君が次の誕生日を


迎えられないだなんて






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