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「ちょっと…一瞬、出かけてきます！」




「えっ…！
せめて一杯くらい出してから…」



「すぐ戻りますんで！」




客をほったらかしにして

荷物も持たずに店から飛び出した



「っ…」



南町は…

七香たちの家へは、ここから走れば10分ほどで着く




「違ってくれよ…」




雨を正面から受けながら


走り続けた




なにが自分の足を進めたんだろう


寂しさか、後悔か、勝手に理由を作って


ただおそらく、もう一度彼らに会いたかったんだろう



七香に


会いたかったんだろう












遠くから、ざわざわと人の声が聞こえてきた

そして急に、ひとだかりが見える





…やめてくれよ…






パトカーと救急車が、数台ずつ止まっていた



心臓を圧迫されるような

赤いランプがチラチラと光る





絞り出した声は

誰の耳に届いただろうか








「なんで…



七香ちゃんの家なんだよ…」






七香の家の前は


黄色いテープで仕切られ、

その周りをぐるりと人が囲んでいた





なにがあった


なにがあった




と





その様子は実に、







醜かった。