All Arounder
第54章 You Asked For It
「それじゃ、次はその刀は有利香ちゃんが受け継ぐのか?」
本棚に伸ばしかけていた手を下ろし、またソファーの位置まで戻る
「そうだな、そのつもりしてるよ」
「小さい子が成長していくのって、楽しみだもんな」
「本当に、ずーっと、見ていたいな」
この空気を知っていた
経験したことがあった
何度もあった
全ての神経を研ぎ澄ませて
見えないところまでも見ているかのように気持ちを張り詰めさせて
もし1本でも糸が緩んでいようものなら
その瞬間に喉元から喰い殺されるような
あの戦場の
感覚が
一気に身体に警告を出した
ーーーガキィンッーー
「…」
「…」
「なんの…つもりだ」
「…」
服の下に入れていたソードブレイカーを
無意識に抜き出した先では、
淳司が振り下ろした刀を受け止めていた
「なんのつもりだ…!
ジュンジ!!!」
「ははは…ほんと何やってんだろうな、久狼…」
淳司の瞳には
恐怖の色が映っていた
「でもお前さ…
俺を殺しに来たんだろ?」
「!!?」
お互いに間合いを取り
互に刃を向ける
「なんの冗談だ…
俺が淳司を殺すような理由なんてないだろ!」
淳司の顔は冗談を言ってる様子では無かった