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All Arounder

第54章 You Asked For It





「…ぁあ…」




刀から手を離すと


淳司は地面へと崩れ落ちた






「淳司ぃい!!!!!」




パニックだった





友人と、

相棒と呼んでもいい、そんな存在だと感じた男に



こうもあっさりと刃物を突き立てることができるとは





「あああ!!!
すまない、すまない!!!
なんてことを…俺は…!!」




後悔することすら許されない事をしてしまった




死にかけの人間を救ったことがない自分には、一体どうしたらいいのか頭が回らなかった






「き、救急車をすぐ呼ぶ!
待ってろ…!!」



「ぃや…いい…呼ぶな…」



「何を言って…!!」







淳司は苦しそうに、


浅く息を吸って言った





「…ツケが…回ってきたんだ」







「…」









「く…ろぅ…」






淳司の手は宙を彷徨っていた



思わずその手を握りにいく





「久狼…ぁー…


すまなぃ…すまない…



ほん…と…

すまなかっ…た…」







淳司の顔は


涙でぐちゃぐちゃになっていた






「おまぇの…愛したヒト…


ころ させ…たのは、


オレのせぃな…だ」






「何言って…!」





「それが…わかったか、ら、


刀を さしたんだろ?」




微笑をもらす口元から

血が溢れてゆく







「俺は… ゴフッ

いいか、


まだ、見てないのなら…

その本、見ろ…」




淳司はタイトルのない本に向かって目配せした





「…」




言われるがまま、本を手に取り、中を開いていく







「…これは…」






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