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All Arounder

第55章 You Asked For It 2

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「これが、そのときの本だ」






マスターはカウンター裏の棚から、一冊の本を出してきた





「…」




大志は黙って、その本を開いて行った




「思えば…七香ちゃんを失うだけに止まらずに、
淳司まで自分で手をかけちまったことが…

俺のツケが回ってきた結果だったのかもな…」




マスターは
寂しげな笑顔をつくった






『これが、退斗のお姉さんの、診断書?』


「ああ、淳司が…あの犯人の部屋から盗み出したらしい」



姫は診断書を眺め、へぇ…と呟いた




「ったく、辛気臭えな!!!」



姫の手元から紙が逃げて行った

そして井上が紙をビリビリと破いた




「なっ…おい井上!」




「なんだよ!こんな紙切れあろーがなかろーが問題ねーだろ!」



破いた紙をばら撒くと、井上はマスターに向かった




「じゃ、まぁ話聞く限り、マスターは正当防衛じゃねえか!
てっきりマスターから仕掛けたのかと思って冷や冷やしたぜ!」


「井上…お前なぁ、そーいう内容だったか?今の」





「なんだよ大志!問題はそこだろ!
マスターが人殺しで警察にしょっぴかれたら、俺たちが困るだろ!」


「まぁそうだけどよ…」



大志が口を吃らせると、
マスターが言った



「はは、でも有利香に命狙われる理由としては充分だろ…」





「…」







「…じゃあさぁ、その淳司ってひとは、ぜんぶ有利香ちゃんにしゃべったっちゅーことやろか?」



『たしかに、マスターの名前知ってたもんね』




「ああ…たぶんそれはーーーー」





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