All Arounder
第56章 Strong Women
「…あかん、のぼせてきたわ」
葵は湯船から腕を外に投げ出した
『どうしよう、いい案が浮かばないよ…山籠もりする?』
「退斗に会えへんやん!」
『あ、マスターにお願いしたらいいんだ!』
「おお!それは名案や!」
この前の一件から、力をつけてもらう相手としては申し分なかった
「決まりや!これにてレディース緊急会議は閉会します~!」
『明日、お願いしにいこう!』
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「ふわ~いい風呂やった~」
『長いこと入ってたね~』
体から湯気を立ち上らせて、姫と葵はリビングに戻ってきた
「ほんとに長かったな」
井上はソファに座りながら、缶ビールを飲んでいる
「え~退斗飲みすぎやん、酒場でも飲んでたやん」
「待ちくたびれたんだよー」
「じゃ、井上、俺先に風呂もらうわ」
大志が立ち上がると、井上は酒を置いて風呂場へ走り出した
「お前、女の子を包み込んだ後の湯船は譲らねーから!」
「は?いらねぇし」
そのまま井上に先を越されたので、大志はもう一度椅子に座った
「で、やけに盛り上がってたけど、何話してたんだよ?」
大志は笑いながら姫に話しかけた
『言えません!』
「…」
『言えません!!』
「お、おう…」
珍しく大声で拒絶されたので、大志も尻込みする
「え、葵…なんかあったのか?」
「大志くん、そういう時は黙って引き下がるんや。野暮やで」
「え、そんなに…?」
『あたし、先に寝てるね!』
姫は目を輝かせると、隣の部屋へ先に行ってしまった
「じゃあうちも、お先に!」
姫に続いて葵も寝室に潜り込む
ひとりリビングに残された大志は
寂しくも井上が風呂から上がるのを待った